先日の集中豪雨では、静岡県をはじめ、三重県でも車の水没被害が相次ぎ、最終的には300台を超える見込みとの報道がありました。被害に遭われた皆さまに心よりお見舞い申し上げます。
台風シーズンには火災保険について触れることが多いのですが、今回は自動車の水没事故と車両保険の関係について解説します。あまり知られていませんが、水没は運転者に過失のない事故とみなされるため、車両保険に加入していれば補償対象となります。
現在、車両保険には大きく分けて「車対車+A」と「一般」の2種類があります。
■車対車+A:
原則として相手が判明している事故が対象。自損事故や当て逃げは対象外。ただし、あいおいニッセイ同和損保と三井住友海上の2社は「10補償限定」として当て逃げも対象としています。
■一般:
自損事故や当て逃げも含めた最も手厚い補償で、その分保険料は高めです。
感覚的には、車両保険なしの自動車保険を基準とすると「一般」は約2倍、「車対車+A」は約1.5倍の保険料となります。なお、今回のような水没事故であれば「車対車+A」でも保険金が支払われます。また、自然災害による数百万円規模の支払いが発生したとしても、等級は1つ下がるだけです。
さらに「新車特約(車両新価特約)」を付帯している場合、車両保険金額の50%以上の損害が発生していれば、時価額に関係なく新車購入費用が支払われます。
例えば、400万円(新車特約セット)で購入した車が事故により損害を被ったとします。現在の車両保険金額300万円の場合、損害額が150万円以上であれば新車特約が発動し、時価に関わらず400万円が支払われます。150万円未満の場合は、損害額分のみの支払いです。
一方で、今回の三重県四日市市の地下駐車場のケースでは、もし構造上の欠陥が確認されれば所有者に賠償を求められる可能性もあります。しかし、予測可能性の有無など法的な判断が絡むため、賠償請求は難しいのが実情です。そのため、大雨が予測される際には地下駐車場の利用を避けること、または新車特約を付けて備えることを強くおすすめします。
ただし、新車特約は保険会社が定める期間内に新車へ買替えることを条件とした補償です。もし被害を機に車を手放す場合には、通常通り「時価額」での補償となりますので、ご注意ください。
来月は、生命保険のランキング評価をおこなった結果のトレンドをお知らせします。お楽しみに!